紅茶の香り豊かなバヴァロワに、オレンジの香りのイチジクのムースを忍ばせています。
ビスキュイアマンドにのせたカシスピューレの酸味と、底に敷いたクランブルの食感がアクセント。

◆イチジク◆

　イチジクは、花をつけずに実を結ぶように見えるため、中国では古くから「無花果」と呼ばれていて、漢方薬として用いられてきました。花がないのではなく、果実の中に隠れて咲いていて外側から見えないだけで、内側の空洞の袋状のところ「花のう」に花びらを持たない小さな花が並んでいます。
　イチジクのこの花の形には、イチジクとイチジクコバチの共生が関わっています。原産地の地中海沿岸や西アジアに生息するイチジクコバチは体長わずか２ミリ程度、雌花が咲くときに、花粉を持つ雌コバチが小さな隙間から入り込んで授粉し同時に産卵、種子と幼虫が共生しながら成長します。イチジク一品種に決まった品種のイチジクコバチがいるほど、一対一の完全な共生関係があるそうです。日本にはイチジクコバチは生息しないため、受粉を要しない単為結果性の品種を栽培しています。